シトルリンはサプリ摂取が有効な理由/オルニチン回路とNOサイクル解説

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オルニチンサイクル

2006年にレッドブルが日本に初上陸を果たすと、後を追うように相次いで海外のエナジードリンクメーカーが日本市場に参入してきました。

しかし、すでに日本には草分け的存在「リポビタンD」をはじめとする「栄養ドリンク」勢がひしめいており、「医薬品」「医薬部外品」という大きな壁が立ちはだかっていたのです。

日本の栄養ドリンクは多くが「タウリン」を主成分としていますが、タウリンは肝臓の働きを高める医薬品成分です。

海外ではサプリメントとして使用できるため、海外版の本家レッドブルにはタウリンが1000㎎配合されています。しかし、日本では海外勢のエナジードリンクは「清涼飲料水」、つまり食品に分類されるため、医薬品であるタウリンは使用できません。

そこで、エナジードリンクがタウリンの代わりとして採用したのが「アルギニン」でした。

日本ではアルギニンは調味料に分類されますが、タウリンと同じく肝臓での解毒作用を強化する働きがあります。ですが、肝臓の解毒作用以外にも、アルギニンには男性にとって重要かつ必要不可欠な働きがあるのです。

この記事では、オルニチン回路とNOサイクル、シトルリンはサプリ摂取が有効な理由について、掘り下げて解説していきます。

※アルギニン/シトルリンの効果効能、1日の摂取目安量などをまとめた記事は以下別記事をご参照下さい。

⇒【アルギニン/シトルリン】効果効能、摂取量、副作用等まとめ

 

アルギニンは精子の数を増やし、精子の運動を活発にする!

精子

日本にもかつてアルギニンを主成分とし、タウリン配合の栄養ドリンク勢に闘いを挑んだエナジードリンクがありました。それがアミノ酸のパイオニア、味の素が世に送り出した「アルギンZ」です。

しかし、テレビCMで流された「男には男の武器がある!」「パワーこそ男の武器だ!」のキャッチコピーが何を意味するのか、おそらく視聴者には伝わらなかったのでしょう。残念ながら「ファイト一発!」の前に、健闘むなしく消え去っていきました。

その後、「ファイト一発」は商品ラインアップを増やし、女性や受験生にも訴求していくようになりますが、そこに登場したのが先の海外エナジードリンク軍団です。海外版で使用しているタウリンが日本では使用できないため、苦肉の策で採用したアルギニンで大ヒット、皮肉にも栄養ドリンクの牙城を脅かすまでに急成長を遂げています。

そのアルギニンですが、体内での働きのひとつにポリアミンという化合物の生成があります。アルギニンはアルギナーゼという酵素と反応して遊離アミノ酸のオルニチンとなり、さらに別の酵素によってポリアミンの一種であるプトレスシンになります。

プトレスシンはまた違う酵素の作用でスペルミジンを経てスペルミンとなります。スペルミンは精液の中から発見されたため、精液(スペルマ)から命名されました。

ポリアミンの化学構造

出典:https://www.oryza.co.jp/pdf/japanese/polyamine_j_1.0mm.pdf

アルギニンから作られるプトレスシン、スペルミジン、スペルミンは代表的なポリアミンであり、細胞のRNA(核酸)と結合して細胞の増殖を活発にすると考えられています。たんぱく質の合成を促進するため精子の生産にも深く関わるほか、亜鉛と共に精子の運動性を高める働きもあります。

ポリアミンは母乳にも含まれており、出産から2週間ほど経ったころ含有量のピークを迎えますが、その理由は、生後間もない乳児の成長に欠かせない成長因子として働くためと考えられています。

ポリアミンを生成するアルギニンは、体内でほかのアミノ酸から合成できるので必須アミノ酸ではありませんが、子どもはアルギニンの合成能が十分でないため、食事から摂取しなければなりません。また、加齢とともに体内での合成量は減少していくので、高齢者も食事からの摂取が必要です。そのためアルギニンは準必須アミノ酸に位置付けられています。

一般的に、加齢は酵素の活性を低下させるので、年齢が上がるにつれてポリアミンの合成量は低下すると考えられています。しかし、アルギニンはポリアミンの合成以外にも、成長ホルモンの分泌などアンチエイジング的な働きをすることがわかっています。

精子の量と質を高めるためにも、現役世代にこそアルギニンは必須の栄養素といえるでしょう。

猛毒アンモニアを解毒するオルニチン

アルギニンから作られ、ポリアミンへと変化するオルニチンですが、その機能はポリアミンに変身することだけではありません。オルニチンは、体内で発生した有害なアンモニアを無害な尿素に変換して体外に排出するという重要な役割も担います。

アンモニアを尿素に変換する一連の仕組みを「オルニチン回路(尿素回路)」と呼ぶくらい、オルニチンはアンモニアを無害化するために欠かせない役割を果たしているのです。

難病情報センター 尿素サイクル異常症

出典:難病情報センター 尿素サイクル異常症
http://www.nanbyou.or.jp/entry/4732

ところで、オルニチン回路で処理される有害なアンモニアはいったいどこからやってくるのでしょうか?

私たちの肉体や体の中で働く酵素、ホルモン、血液や免疫細胞などはすべてたんぱく質からできており、体内のいたるところで分解されては別のたんぱく質に再合成される、というサイクルを繰り返しています。

しかし、あるたんぱく質を分解して別のたんぱく質に作り替える際に、たんぱく質を構成しているアミノ酸が解体されて水素と窒素が遊離することで、アンモニアが生成されてしまうのです。

アンモニアの毒性はとても強く、肝硬変など肝臓の病気で肝機能が低下すると、オルニチン回路で分解しきれなかったアンモニアが血液中へと漏れ出で、汗がアンモニア臭くなったり、肝性脳症と呼ばれる昏睡状態を引き起こすこともあります。

アミノ酸の分解によって全身で発生したアンモニアは、酵素によってグルタミンやグルタミン酸、アラニンなどのアミノ酸に吸収され、解毒工場である肝臓へと運ばれていきます。肝臓で肝細胞内のミトコンドリアに入り、さらに「カルバモイルリン酸」に変換されたアンモニアは、オルニチンと反応してシトルリンに変化します。

ミトコンドリアから細胞質へと移動したシトルリンはアスパラギン酸と反応することでアルギニンにリサイクルされ、アンモニアは最終的に無毒な尿素となり排せつされるのです。

オルニチンと尿素サイクル、代謝の形成

バイアグラは汚染物質「一酸化窒素」から生まれた!?

2020年に2度目の開催となる東京オリンピック。今大会では真夏に開催されるため猛暑対策が課題となっていますが、前回1964年の東京大会では大気汚染によるスモッグが大きな課題でした。

開催を2年後に控えた1962年、ばい煙規制法が施行されるも効果は上がらず、東京の空は霞のようなスモッグが消えないまま開会式を迎えようとしていました。

開会式の前々日、東京では昼頃から降り始めた雨が開会式前日の午前まで降り続き、日中もどんよりとした曇り空でした。ところが、一夜明けて迎えた開会式当日の朝、東京上空は嘘のように青く澄み渡っていたのです。降り続いた雨のおかげでスモッグはきれいに洗い流され、開会式を実況したアナウンサーによる「世界中の青空を全部東京に持ってきてしまったような、素晴らしい秋日和でございます。」という有名な第一声を生んだほどの見事な秋晴れでした。

しかし、オリンピックの後も大気汚染は悪化する一方で、ついに1970年7月、杉並区の環状七号線近くにある立正高校のグラウンドで、生徒数十名が吐き気や呼吸困難を訴えて倒れるという怪事件が発生します。

当時の新聞には工場から出た有毒ガスや気化した薬品が原因ではないか、と書かれていましたが、実はこれが後に社会問題化する、日本で初めての光化学スモッグだったのです。

光化学スモッグの原因は工場や自動車から排出された窒素酸化物ですが、そのほとんどを一酸化窒素(NO)が占めています。一酸化窒素は有害な大気汚染物質で、オキシダントや酸性雨の原因となります。

そんな一酸化窒素が私たちの体内でも生成されており、しかも非常に重要な生理機能を担っていることが発見されたとき、研究者たちは驚きと衝撃を禁じえませんでした。

私たちの体内では、一酸化窒素合成酵素によってアルギニンからガス状のNOが生成され、血管の内皮細胞に作用して血管を拡張させるという重要な役割を果たしています。NOを産生するとアルギニンはシトルリンに変換され、再びアルギニンへとリサイクルされます。

1980年代にNOの機能性を発見した3名の研究者は、この功績によって1998年のノーベル生理学・医学賞を受賞しますが、NOが血管に作用するメカニズムを利用したED治療薬バイアグラが発売され、「夢の薬」ともてはやされたのも同じ1998年のことでした。

大気中では迷惑極まりない汚染物質NOですが、ヒトの体内にあっては非常に重要な機能を持つ、まさに「男の武器」だったのです。

切っても切れないアルギニンとシトルリンの関係

関係

シトルリンは、日本の研究者によって1930年にスイカの果汁から発見され、スイカの学名Citrullusからシトルリンと命名されました。

ヨーロッパでは30年ほど前からリンゴ酸との組み合わせで抗疲労薬として使用されていますが、日本では2007年の薬事法見直しで食品への使用が許可された、比較的新しい機能性素材です。

シトルリンはタンパク質に含まれない遊離アミノ酸で、オルニチン回路の中ではオルニチンから合成されますが、オルニチンを経ない別の合成経路があります。それが、NOとともにアルギニンから直接合成される経路で、その後シトルリンはアルギノコハク酸によってアルギニンにリサイクルされるため、この経路はNOサイクルとも呼ばれています。

アルギニンとシトルリンは互いに姿を変えつつ循環していますが、それぞれが変換される場所は異なります。アルギニンは約40%が小腸の腸管壁でシトルリンに変換されて吸収され、残りはオルニチン回路で使用されたり、他のたんぱく質の合成に利用されます。

一方、シトルリンは小腸で吸収されると、大部分が腎臓でアルギニンに変換されて全身へと運ばれていき、再びNOとシトルリンを産生します。シトルリンには抗酸化作用や筋たんぱくの合成を促す作用もあるので、サプリメントで摂取するならアルギニンよりもシトルリンのほうが効率的だとする意見もあるようです。

サプリシトルリン

「男の武器」の正体はNOだった!

一酸化窒素(NO)はガス状の分子で、細胞膜を通り抜けて細胞内に入り、情報伝達物質を作り出すスイッチを作動させます。作り出された伝達物質は別の酵素に情報を伝達して細胞内にカルシウムイオンが流入するのを制限します。すると血管の平滑筋がゆるんで血管は拡張し、血液の流れる量が増えます。また、NOは血小板の凝集も抑制するので血液の流動性が高まり、血流が改善されるのです。

血管拡張で勃起するイメージ

19世紀の終わりごろ、ノーベル賞の創設者であるアルフレッド・ノーベルが発明した強力な爆薬・ダイナマイトの原料「ニトログリセリン」を製造する工場で、不思議な現象が起きていました。この工場で働く狭心症の従業員は、平日の勤務中に発作を起こすことはないのに、週末の休みをはさんで月曜日になると胸の痛みを訴えるのです。

後に、勤務中は工場内に浮遊するニトログリセリンの粉末を吸い込んだり、皮膚から吸収することで狭心症の発作が抑えられていたことが判明します。これを契機として、ニトログリセリンには血管を拡張し、狭心症の発作を抑える薬効のあることが確認され、狭心症の治療薬として発売されることになりました。

ながらくニトログリセリンの持つ薬効のメカニズムは明らかにされませんでしたが、ノーベルの死後100年近く経って、ようやくアメリカの研究者3名が、血管の拡張はNOの働きによるものであることを発見しました。この発見により3名の研究者は1998年のノーベル生理学・医学賞を受賞したのです。

1990年頃、この研究に基づいて新しい狭心症の治療薬・シルデナフィルの開発が始められますが、肝心の狭心症に対する効果は今ひとつで、臨床試験は中止に追い込まれます。ところが、治験に参加した被験者が中止となって残ったはずの薬をなかなか返却しない。

なぜ薬を返さないのか、理由を尋ねたところ、実は勃起力を高める副作用があることが分かり、急きょED治療薬バイアグラとして発売されることになったのでした。

アルギニンの持つNO産生と血管拡張作用はニトログリセリンやバイアグラと同じメカニズムであり、なおかつアルギニンはポリアミン合成によって精子の量を増やし、その運動性を高めてくれます。アルギニンを男性不妊に治療薬として用いるクリニックもあるくらい、アルギニンへの期待値は高いのです。

「アルギニンとシトルリン」、男の武器を守るには?

ペニスの勃起力を守る

最後に、NO産生を効果的にする方法を記しておきましょう。

体内でアルギニンはアミノ酸のグルタミン酸から作られますが、アミノ酸はバランスよく摂取するのが基本です。アミノ酸バランスに優れた肉や魚、卵や大豆など良質のたんぱく質を多く摂りましょう。また、NOを産生する血管を健康に保つために、魚油などのオメガ3脂肪酸やポリフェノール、カロテノイドなどの抗酸化物質も積極的に摂りたい栄養素です。

加えて、有酸素運動はNO合成酵素の量を増やし、産生されるNOの量を増加させますから、日常習慣として1回20分以上の有酸素運動を定期的に行うことも大切です。

人間の体は20歳を過ぎると生体機能が低下し始めます。すでに中高年期にある男性はもとより、今は若くて元気でも、いずれ来る衰えに備えてアルギニンやシトルリンをサプリメントで補給しておくことをお勧めします。いくつになってもオトコの武器を錆びつかせないために。

 

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